腰痛について | 徳島で人間ドックなら虹の橋病院

腰痛についてLow back pain

腰痛は国内でも「肩こり」「関節の痛み」と並んでトップクラスの訴えを持つ症状です。

その割に病院受診率は全体の4割もいません。
多くの方は、マッサージ・整体や針灸、接骨院の施術、痛みどめなどですましています。
「整形外科はレントゲンと湿布だけで治療はできない」と思われているところがあるのかもしれません。
レントゲンなどの画像で写らない腰痛を持つ患者様をどこまで助けられるかが私にとって生涯の課題の一つです。
しかし、今回は危険な兆候としてこんな腰痛があったら必ず整形外科を受診して下さいという腰痛について解説いたします。

腰痛の原因

腰痛の85%は非特異的腰痛(原因が特定できない)と報告されています。
しかし実際に非特異的腰痛と診断されるのは2-3割と考えられており多くの腰痛が非特異的腰痛と診断されているのが現状です。
レントゲンだけではどんな名医でも腰痛の原因を診断するのは不可能です。
レントゲンだけではなくCT,MRIなどの普及によってより詳細に腰部状態把握ができるようになりました。
しかし、画像で異常があったと言って必ずそれが原因とは限りません。
血管や血液の病気、婦人科や精神科の病気など、整形外科以外の病気から腰痛が起きる場合もあります。
ですから腰痛は、整形外科医を手こずらせるのです。
有名な「ぎっくり腰」にしてもその発生機序・病態は明らかになっていません。

すぐさま精密検査する必要のある腰痛

腰痛の中に、命や生活などに影響をあたえるような放っておけない腰痛も存在します。

発症年齢が20歳未満、55歳以上の新たに発生した腰痛

成長期の腰痛の中には早期発見で治療が変わる疾患があります(分離症など)。
高齢者の腰痛もそれまでの持病やリスク増大によって悪性腫瘍・病的骨折など危険な腰痛の割合が増えます。

進行性の絶え間ない痛み(夜間痛、楽な姿勢がない、動作と無関係に痛い)

安静にしているのに24時間痛い。これは感染症などによる炎症を疑う必要があります。

胸部痛を伴う

心筋梗塞は腰痛でも発症します。喫煙者・「いつもと違う腰痛」がポイントです。
余談ですが心筋梗塞の初発症状として肩こりも挙げられています。
腰痛、肩こりの初診患者様の場合、私は必ず心血管リスクをチェックします。

悪性腫瘍(がん)の病歴

がんの脊椎転移である可能性があります。

長期間にわたるステロイド剤の使用歴

ステロイドの長期服用は骨粗しょう症の原因になります。
骨粗しょう症は病的骨折を起こします。

免疫抑制剤を飲んでいる

腰椎の圧迫骨折、感染症のリスクを高める要因になります。

エイズ感染の既往

結核性脊椎炎の可能性があります。

原因不明の体重減少

こちらは悪性腫瘍など内臓疾患による腰痛を鑑別しないといけません。

腰部の強い屈曲制限の持続

強直性脊椎炎などを鑑別する必要があります。

脊椎叩打痛(骨の部分を叩くと痛い)

骨折している可能性があります。

身体の変形

脊椎の側弯変形があると姿勢がおかしくなりますが、希に学生でも特発性の側弯症が起こることがあり学校健診でも注意が呼びかけられています。
若い女性で左右の肩の高さが違う場合、検査をおすすめします。

発熱を伴う腰痛

化膿性椎間板炎など細菌感染症の可能性があります。

膀胱直腸障害(おしっこが出ない)とサドル症候群(腰の痛みを感じるほか、尻、太もも、膀胱、直腸を含む部位の感覚が鈍くなる)

椎間板ヘルニアなど神経根症の重症例で不可逆性の神経障害が起こっている可能性があり緊急手術が必要になることがあります。

腰痛ガイドラインでは、レッドフラッグと呼ばれる上記のチェック項目に当てはまる場合、画像検査や血液検査をして、「重大な脊椎病変」の有無を調べるように勧告しています。
当たり前ですが頻度は少ないです。
信頼できる整体や接骨院をパートナーにしている方も思い当たる節があったら最初だけでも整形外科を受診して下さい。
上記の病気は画像で確定できる疾患がほとんどです。画像検査だけで医療はできませんが、やはり画像の診断能力は強力です。
レントゲン1枚にしても見る人によって得られる情報量はかなり違います。

しかしガイドラインでは上記チェックからすべて外れた場合「自然に治る可能性が高い」としています。
今回は何が何でも整形外科で検査すべき例を紹介しましたがいずれ、画像に写らない腰痛の原因、対策を紹介したいと思います。